免税制度変更(持ち出し確認型)の解説と内容
先週、2024年12月20日に、財務省より2026年の免税制度改正の概要が公開されました。
法令施行日は、2年後、2026年11月1日となります。 年明け2025年になりましたらば、制度内容の詳細解説をご案内致します。
【変更点8つのポイント】
1)購入日から90日以内に出国税関承認を得ないと免税にならない。
2)店頭では課税で販売、税関承認後に免税店から購買者に対し預かり消費税を返金する。
3)一般物品/消耗品の区分を廃止する。
4)消耗品の購入上限額(50万円)を廃止する。
5)消耗品の特殊包装を廃止する。
6)100 万円以上の物品はその物品を特定できる情報(シリアル等)を免税データに付記する。
7)船舶観光上陸許可書だけでの免税は不可、旅券の提示も必要。
8) 免税店の区分(一般型or手続委託型)を廃止する。
以上
以下は税制改正大綱の原文です。
消費課税
1 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し
(国 税)
外国人旅行者向け消費税免税制度について、次の見直しを行う。
- 免税方式の見直し
① 輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者に対して免税対象物品を譲渡した場合であって、その免税購入対象者がその購入した日から 90日以内に出港地の税関長による確認を受けたときは、その確認をした旨の情報(以下「税関確認情報」という。)を輸出物品販売場を経営する事業者において保存することを要件として、その免税対象物品の譲渡について、消費税を免除する。
(注)上記の改正に伴い、実務上、消費税相当額を含めた価格で販売し、出国時に持出しが確認された場合に輸出物品販売場を経営する事業者から免税購入対象者に対し消費税相当額を返金する「リファンド方式」となる。
② 免税購入対象者は、購入した免税対象物品について、出国時に旅券等を提示して税関長の確認を受けるものとし、その確認を受けた免税対象物品を国外に持ち出さなければならないこととする。
③ 税関長は、輸出物品販売場を経営する事業者(承認送信事業者を含む。)に対し、購入記録情報ごとに、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関確認情報を提供するものとする。
- 免税対象物品の範囲の見直し
① 消耗品について免税購入対象者の同一店舗一日当たりの購入上限額(50万円)及び特殊包装を廃止するとともに、一般物品と消耗品の区分を廃止する。
② 免税販売の対象外とされている通常生活の用に供しないものの要件を廃止するとともに、金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品については、免税販売の対象外とされる物品として個別に定める仕組みとする。
- 免税販売手続の見直し
① 船舶観光上陸許可等により上陸する者の免税販売手続においては、上陸許 可書及び旅券の提示を求めることとし、輸出物品販売場を経営する事業者は、旅券番号に基づき購入記録情報を提供するものとする。
② 日本国籍を有する免税購入対象者が国内に2年以上住所等を有しないことの証明書類に個人番号カードを追加することとし、現行の証明書類については本籍の地番の記載を不要とする。また、輸出物品販売場を経営する事業者は、証明書類の種類及び国外転出等をした日を購入記録情報として送信することとし、その証明書類の保存を不要とする。
③ 100 万円(税抜き)以上の免税対象物品については、購入記録情報の送信事項にその免税対象物品を特定するための情報(シリアルナンバー等)を加える。
④ 免税購入対象者が輸出物品販売場で運送契約を締結し、かつ、その場で物品を運送事業者へ引き渡す、いわゆる「直送」による免税販売方式については、従来の方式に代えて消費税法第7条の輸出免税制度により消費税を免除することができることとする。
⑤ 免税購入対象者が輸出物品販売場で購入した免税対象物品について、その免税購入対象者が別途国外へ配送する、いわゆる「別送」をしたことにより出国時に携帯していない場合に、その免税対象物品の配送等に係る書類により輸出したことを確認する取扱いを廃止する。
- 輸出物品販売場の許可要件の見直し
① 一般型輸出物品販売場と手続委託型輸出物品販売場の許可の区分を廃止するとともに、次の見直しを行う。
イ 輸出物品販売場の許可については、適切に購入記録情報及び税関確認情報を授受できることを要件とする。
ロ 上記イの許可を受けた輸出物品販売場を経営する事業者は、承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させることができることとする。
ハ 免税手続カウンターを設置する承認免税手続事業者に免税販売手続を代理させる場合の免税手続カウンターの設置場所については、特定商業施設の要件に代えて、免税対象物品を販売した日と同一の日に免税販売手続ができることを要件とする。
② 輸出物品販売場の許可の取消要件に、購入記録情報の提供状況等が税関長の確認に支障があると認められる場合を加える。
- 基地内輸出物品販売場制度を廃止する。
- 免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則について所要の整備を行うほか、外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、所要の措置を講ずる。
(注1)上記((3)⑤を除く。)の改正は、令和8年 11 月1日以後に行われる免税対象物品の譲渡等について適用することとし、上記(3)⑤の取扱いは、令和7年3月 31 日をもって廃止する。
(注2)上記の改正に伴い、輸出酒類販売場制度における免税方式、免税対象酒類の範囲、免税販売手続及び許可要件並びに免税購入対象者に対する即時徴収及び罰則等について、所要の措置を講ずる。
(地方税)
外国人旅行者向け消費税免税制度の見直しに伴い、地方消費税について所要の措置を講ずる。
(注)上記の改正は、令和8年 11 月1日から施行する。